2011年 06月 10日
よくもまあこんな不完全な情報が記事としてまかりとおるものだと思う。 |
8日夜、茂来館(もらいかん。町のコミュニティーセンターです)で「ヒバクシャ 世界の終りに」(監督/鎌仲ひとみ)を見る。鎌仲監督の原発三部作のひとつで、「被爆」が世界に広がっている現状を追ったドキュメンタリーだ。
湾岸戦争以降、劣化ウラン弾の影響とみられる白血病がイラクの子どもたちに激増している実態や、米ワシントン州ハンフォード核施設付近で、深刻な放射能汚染が広がっている状況が明らかにされる(この付近で穫れるジャガイモは世界に輸出されている)。
イラクに関しては、湾岸戦争、そして03年からのイラク戦争でイラク全土に落とされた劣化ウラン弾は2000トンにのぼるという。今後、白血病になる子どもたちはますます増えていくことは間違いない。画面のなかの子どもたちの笑顔を見ながら暗澹とした気持ちになる。
また、96年ころから、日本でも乳がんで亡くなる人と、乳幼児の死亡が急増している。その分布図を見ると、北海道から東北地方の日本海側に集中していることがわかる。調査したのは放射線治療に長く携わってきた広島に住む医師(肥田舜太郎氏)だが、これにはチェルノブイリの原発事故と中国の核実験が深く関係しているのではないかという。
ネットで7日のYahooニュースを見ていたら「すべての原発を停止すると、年間3兆円の負担増」(読売新聞)のヘッドラインが目に飛び込んでくる。
内容を読んでみると、「海江田経済産業相は7日の新成長戦略実現会議で、国内すべての原子力発電所が運転停止した場合、火力発電で代替すると液化天然ガス(LNG)や石油などの燃料費の負担増が年間3兆円以上になるとの試算を明らかにした」とある。
「原発をやめるとやっぱりそんなにかかるのか。やっぱり原発は必要なんだな」と思わせるのが原発推進派の狙いだが、読んでおわかりのとおり、この試算には大きな穴がある。なぜ火力発電だけで代替しなければならないのか。水力発電を除いているのはあきらかに意図的だ。
原発をすべて停止しても、電力不足にはならないと断言する京都大学の小出裕章先生の調査によると、火力発電、水力発電の稼働率はそれぞれ50%と19%。水力発電はほとんど使ってないに等しい。水力発電をフル稼働した場合はどうなのか、それについて少しも触れていない。雑駁な試算というしかないし、よくもまあこんな不完全な情報が記事としてまかりとおるものだと思う(というより、なぜこの試算に水力発電が抜けているのか、メディアは指摘しないのだろう)。
原発をすべて停止すると年間3兆円かかるというが、今回の福島のような甚大な事故が起きた場合のコスト----これには復旧費用、賠償以外に、当然のことながら被爆した人たちの長期間にわたる医療費(だけではない!)も含まれる----を原発推進派はどのように考えるのか。
なお、「ヒバクシャ 世界の終りに」はDVDによる上映だったが、企画したのは農家の主婦グループ。鎌仲監督といい、女のヒトはがんばってます。
湾岸戦争以降、劣化ウラン弾の影響とみられる白血病がイラクの子どもたちに激増している実態や、米ワシントン州ハンフォード核施設付近で、深刻な放射能汚染が広がっている状況が明らかにされる(この付近で穫れるジャガイモは世界に輸出されている)。
イラクに関しては、湾岸戦争、そして03年からのイラク戦争でイラク全土に落とされた劣化ウラン弾は2000トンにのぼるという。今後、白血病になる子どもたちはますます増えていくことは間違いない。画面のなかの子どもたちの笑顔を見ながら暗澹とした気持ちになる。
また、96年ころから、日本でも乳がんで亡くなる人と、乳幼児の死亡が急増している。その分布図を見ると、北海道から東北地方の日本海側に集中していることがわかる。調査したのは放射線治療に長く携わってきた広島に住む医師(肥田舜太郎氏)だが、これにはチェルノブイリの原発事故と中国の核実験が深く関係しているのではないかという。
ネットで7日のYahooニュースを見ていたら「すべての原発を停止すると、年間3兆円の負担増」(読売新聞)のヘッドラインが目に飛び込んでくる。
内容を読んでみると、「海江田経済産業相は7日の新成長戦略実現会議で、国内すべての原子力発電所が運転停止した場合、火力発電で代替すると液化天然ガス(LNG)や石油などの燃料費の負担増が年間3兆円以上になるとの試算を明らかにした」とある。
「原発をやめるとやっぱりそんなにかかるのか。やっぱり原発は必要なんだな」と思わせるのが原発推進派の狙いだが、読んでおわかりのとおり、この試算には大きな穴がある。なぜ火力発電だけで代替しなければならないのか。水力発電を除いているのはあきらかに意図的だ。
原発をすべて停止しても、電力不足にはならないと断言する京都大学の小出裕章先生の調査によると、火力発電、水力発電の稼働率はそれぞれ50%と19%。水力発電はほとんど使ってないに等しい。水力発電をフル稼働した場合はどうなのか、それについて少しも触れていない。雑駁な試算というしかないし、よくもまあこんな不完全な情報が記事としてまかりとおるものだと思う(というより、なぜこの試算に水力発電が抜けているのか、メディアは指摘しないのだろう)。
原発をすべて停止すると年間3兆円かかるというが、今回の福島のような甚大な事故が起きた場合のコスト----これには復旧費用、賠償以外に、当然のことながら被爆した人たちの長期間にわたる医療費(だけではない!)も含まれる----を原発推進派はどのように考えるのか。
なお、「ヒバクシャ 世界の終りに」はDVDによる上映だったが、企画したのは農家の主婦グループ。鎌仲監督といい、女のヒトはがんばってます。
by ekimaeshokudo
| 2011-06-10 20:33
| 非番日記