2010年 05月 29日
土牛さんの緞帳 |
いま奥村土牛記念美術館の庭の藤と牡丹がちょうど見頃。テレビや新聞で紹介されたこともあり、連日、見物客でにぎわっています。
一昨日、土牛さんを見てからうちに立ち寄ったというお客さんが、
「実は私、歌舞伎座の土牛さんの緞帳を担当しまして……。50年前の話です」
今年4月、新築工事のため休館した歌舞伎座。その歌舞伎座の緞帳に土牛さんの絵(泰山木)が使われていたことがありました。その緞帳の製作に携わったというのです。
そして当時の写真----できあがったばかりの緞帳を前に関係者が並んだ記念写真を見せてもらいながら、当時の話を聞かせてもらいました。
この方がいたのは高島屋の装飾部(いまその部署はないらしい)。当時、劇場や映画館の緞帳はデパートが手がけたもので、歌舞伎座の緞帳は高島屋が請け負っていたのだという。
で、昭和25年頃、土牛さんの絵で新しい緞帳を作ることになり、土牛さんに絵を依頼すると、やがて出来上がってきたのが土牛さんの自宅の庭に咲く泰山木。その原画をもとに緞帳をつくっていったのだそうです。緞帳を織るのは岡山にある織元。しかし、織り始める前に試織といって、試しに少しだけ織って、土牛さんに色を見てもらったり、またスポンサー(ミツワ石鹸)との打ち合わせなど、それは何度も何度も打ち合わせを重ねるのだという。
「私が入ったころは、色糸の数は打ち合わせをしなくちゃいけないと先輩からいわれたものです。色数ですか? 200種類以上ありますね」
これでOKとなって織りはじめるのですが、歌舞伎座の緞帳だからでかいでかい。幅15間1尺(約27m)、高さ3間(約5.4m)。でも、織りはじめると早いらしい。女工さんが1m間隔にズラーッ並んで一斉に織っていくのだという。
土牛さんの絵が緞帳が使われていたのは昭和26年頃から40年までの約15年間。
「歌舞伎座の緞帳といえば、泰山木の絵を思い出す歌舞伎ファンが多いですね。それだけ印象深かったんでしょうね」
土牛さんのあとは、平山郁夫など錚々たる日本画家の絵が緞帳を飾ったのだそうです。
使わなくなった土牛さんの緞帳はどうなっちゃったんでしょう?
「焼けてるし、ホコリは吸ってるし、カッターで切って廃棄処分にしました」
使わなくなった緞帳はみなそうするのだという。なんだかもったいないような気もいたします。
気になるお値段ですが、
「いまのお金に直すと1億円くらいでしょうね」
やっぱそのくらいするでしょうね。
藤の薄紫って気品があっていいですね(奥村土牛記念美術館)
こちらは白藤(奥村土牛記念美術館)
満開の牡丹(奥村土牛記念美術館)
一昨日、土牛さんを見てからうちに立ち寄ったというお客さんが、
「実は私、歌舞伎座の土牛さんの緞帳を担当しまして……。50年前の話です」
今年4月、新築工事のため休館した歌舞伎座。その歌舞伎座の緞帳に土牛さんの絵(泰山木)が使われていたことがありました。その緞帳の製作に携わったというのです。
そして当時の写真----できあがったばかりの緞帳を前に関係者が並んだ記念写真を見せてもらいながら、当時の話を聞かせてもらいました。
この方がいたのは高島屋の装飾部(いまその部署はないらしい)。当時、劇場や映画館の緞帳はデパートが手がけたもので、歌舞伎座の緞帳は高島屋が請け負っていたのだという。
で、昭和25年頃、土牛さんの絵で新しい緞帳を作ることになり、土牛さんに絵を依頼すると、やがて出来上がってきたのが土牛さんの自宅の庭に咲く泰山木。その原画をもとに緞帳をつくっていったのだそうです。緞帳を織るのは岡山にある織元。しかし、織り始める前に試織といって、試しに少しだけ織って、土牛さんに色を見てもらったり、またスポンサー(ミツワ石鹸)との打ち合わせなど、それは何度も何度も打ち合わせを重ねるのだという。
「私が入ったころは、色糸の数は打ち合わせをしなくちゃいけないと先輩からいわれたものです。色数ですか? 200種類以上ありますね」
これでOKとなって織りはじめるのですが、歌舞伎座の緞帳だからでかいでかい。幅15間1尺(約27m)、高さ3間(約5.4m)。でも、織りはじめると早いらしい。女工さんが1m間隔にズラーッ並んで一斉に織っていくのだという。
土牛さんの絵が緞帳が使われていたのは昭和26年頃から40年までの約15年間。
「歌舞伎座の緞帳といえば、泰山木の絵を思い出す歌舞伎ファンが多いですね。それだけ印象深かったんでしょうね」
土牛さんのあとは、平山郁夫など錚々たる日本画家の絵が緞帳を飾ったのだそうです。
使わなくなった土牛さんの緞帳はどうなっちゃったんでしょう?
「焼けてるし、ホコリは吸ってるし、カッターで切って廃棄処分にしました」
使わなくなった緞帳はみなそうするのだという。なんだかもったいないような気もいたします。
気になるお値段ですが、
「いまのお金に直すと1億円くらいでしょうね」
やっぱそのくらいするでしょうね。
藤の薄紫って気品があっていいですね(奥村土牛記念美術館)
こちらは白藤(奥村土牛記念美術館)
満開の牡丹(奥村土牛記念美術館)
by ekimaeshokudo
| 2010-05-29 08:24
| お客さんとのおしゃべり